発心門王子
発心門王子は熊野九十九王子の中でも最も格式の高い五体王子のひとつに数えられていました。
「発心門」とは、仏の道に帰依する心を発する入り口(門) という意味で、ここからが熊野本宮大社の神域とされていました。
発心門王子のバス停から、約50m奥にあります。
水呑(みずのみ)王子
発心門王子から約30分。水呑王子は廃校になった小学校の隣にあります。水場、トイレがあるのでひと休み。
ここから古道らしい地道に入っていきます。道も広く、快適なウォークが楽しめます。
手入れされた杉林や、緑のシダなど、古道の雰囲気がいっぱいの美しい道です。少し天気の悪い日でも、靄にかすんだ林が美しく、カメラを濡らさないように気を付けて撮影しましょう。
道休禅門の地蔵
伏拝の集落の手前にある「道休禅門地蔵」も有名な被写体です。赤い前掛けがかけられていたり、冬になれば地元の方が藁ぼうしをかぶせていたりして、大事にされている雰囲気が伝わってきます。カメラの位置を少し低めにして、バックの古道や杉林が入るように撮ってみましょう。
雨上がりの古道
雨の日のウォークは、石段などが滑りやすくなるのでお気をつけてください。
少し雨が降ると、しっとりとした古道と森が見どころにもなります。
ササユリ
6月には、道沿いで美しい「ササユリ」も咲きます。「ユリ」というと太い茎で大きな花と思われますが、ササユリは茎も細く控えめなユリです。他の花を踏まないように注意しながらアップで撮ってみましょう。
伏拝王子
水吞王子から地道に入りますが、道休禅門地蔵から少しで集落の道に出ます。道沿いに無人販売所もある、畑に囲まれた美しい集落です。
途中、案内板に沿って畑の中の道を上がると、美しい茶畑が見えます。「伏拝王子」に到着です。
到着するとまず休憩所やトイレがありますが、伏拝王子は休憩所の前の石段を上ったところにあります。
中辺路を辿った参詣者が、ここで初めて熊野本宮大社を見ることになるため、伏して拝んだことから「伏拝王子」となったと伝えられています。
現在も山の間から、旧社地「大斎原」を望むことができます。
休憩所では、週末には地元物産の販売などが行われており、ランチスポットにちょうどいい場所です。
なお、この先熊野本宮大社までトイレがありません。食事の後すぐに出発せずに、周辺を散策したりゆったりと休憩し、トイレを済ませてから出発しましょう。
和泉式部供養塔
和泉式部の言い伝え
和泉式部が熊野詣で伏拝に差し掛かったとき、にわかに月の障りとなったため、参拝が出来ないと思い歌を読みました。
「晴れやらぬ 身のうき雲のたなびきて 月のさはりとなるぞ かなしき」
その夜、熊野権現が夢に現れ、
「もとよりも 塵にまじはる神なれば 月の障りも なにかくるしき」
とお告げがあり、式部は参拝することができた。
この言い伝えは、一遍上人の聖たちが、熊野権現は「信・不信を問わず、貴賎を問わず、女人の不浄を嫌わない」ということを和泉式部を題材に物語としたものである。
平安時代の女流歌人、和泉式部が伏して拝んだという言い伝えがあり、供養塔といわれる笠塔婆がある。
NHKの朝ドラ「ほんまもん」ロケ地
伏拝王子前には、NHKの朝ドラ「ほんまもん」のロケ地になった美しい茶畑があります。茶畑の上から伏拝王子を見下ろしたり、緑の茶畑の美しいカーブを撮ってみましょう。
また、少し高台にある伏拝王子からは、谷の間に熊野本宮大社旧社地・大斎原が望めますが、天候が悪いと靄や雲がかかりみえません。しかし、谷の間に漂う靄や雲も美しいものです。
伏拝王子からは、再び地道の古道になります。林の中を緩やかに下る道で、快適に歩けます。
三軒茶屋跡
伏拝王子から約20分、舗装路にかかる小橋を渡れば「三軒茶屋跡」です。熊野古道小辺路との合流点でもあります。
ここには関所があったと伝えられています。
石畳の古道
三軒茶屋跡を過ぎると、しばらく地道の美しい古道が続きます。 少し上りもありますが、ほとんどは緩やかな下り坂が続きます。
古い石畳や石段も残り、大社が近くなってきた雰囲気が感じられます。
濡れている日は滑らないように注意して下さい。
ちょっとよりみち展望台
途中、「ちょっとよりみち展望台」があります。古道から少しそれて、高台に上っていきます。少しシンドイですが、展望台からは大斎原と大鳥居が望め、現代版の「伏拝」ポイントです。
祓殿王子
地道の古道を進むと、ほどなく民家が建つ団地に出てきます。
住宅街の中を進むと、すぐに現在の熊野本宮大社の鳥居が見えてきますが、そのすぐ手前に「祓殿(はらいど)王子」があります。こんもりとした木々に守られた王子です。
熊野本宮大社に参拝する前に、祓い清める潔斎所だったとみられています。
熊野本宮大社へ到着
お疲れ様でした!熊野本宮大社へ到着です。古の熊野詣の数十分の一ですが、熊野本宮大社に到着した充実感は感じていただいたでしょうか?
参拝したら、石段を下りて旧社地・大斎原へも行ってみましょう。
石段を下りた道路の向かいには、観光協会や和歌山県世界遺産センターがある「世界遺産熊野本宮館」があります。